展開接続図とシーケンス図の違いを解説
展開接続図とシーケンスは電気制御システムの設計や運用において重要な役割を果たす図面です。これらはそれぞれ異なる目的を持ち、異なる情報を提供します。本稿では、展開接続図とシーケンスの定義、特徴、そしてその違いについて詳しく解説します。
展開接続図とは
展開接続図は、シーケンス制御の動作順序を理解するために作成される図であり、リレー回路の構成を示します。この図は、特定の動作原理に基づいており、機器間の接続状況を明確にすることが目的です。展開接続図は、機器間の接続や動作の流れを視覚的に表現するため、電気設計やメンテナンスにおいて非常に有用です。
展開接続図は通常、縦書きまたは横書きで描かれ、動作が進む方向が明確に示されています。例えば、縦書きの場合は左から右へ、横書きの場合は上から下へと動作が進むように配置されます。また、この図では電源が切れている状態や機器が休止している状態で描かれることが一般的です。
シーケンスとは
シーケンスは、特定の順序で制御動作を進めるための方法論であり、その内容を視覚的に表現したものがシーケンス図です。シーケンス図は、機器の動作や機能を示すために使用されるものであり、主に電気回路における制御関係を示します。これらは「展開接続図」とも呼ばれますが、その焦点は主に機器の動作順序と制御ロジックにあります。
シーケンス図には主に二つの描き方があります。一つはEWD(Elementary Wiring Diagram)方式であり、もう一つはCWD(Control Wiring Diagram)方式です。EWD方式では機器の配置関係を無視し、自動制御関係の動作順序に従って描かれます。一方CWD方式では、実際の配線や機器の配置を考慮して描かれます。
展開接続図とシーケンスの違い
展開接続図とシーケンスには明確な違いがあります。
- 目的:
- 展開接続図は主に回路構成や接続関係を示すことを目的としています。
- シーケンスは制御動作や機能を表現することが主な目的です。
- 表現方法:
- 展開接続図では実際の配線や機器間の物理的な接続が強調されます。
- シーケンスでは機器間の動作関係や制御ロジックが中心となります。
- 描き方:
- 展開接続図は通常実体配線図として描かれることが多く、具体的な機器や配線が詳細に示されます。
- シーケンス図では電気用記号(シンボル)を使用して簡略化されており、動作順序や制御関係が視覚的に理解しやすくなっています。
- 使用場面:
- 展開接続図は主に製造や点検時に使用されることが多く、そのため詳細な情報が求められます。
- シーケンスは設計段階やトラブルシューティング時などで使用されることが多く、動作理解が重視されます。
まとめ
展開接続図とシーケンスは、それぞれ異なる目的と特徴を持つ重要な電気回路の表現方法です。展開接続図は回路構成や物理的な接続状況を明確に示し、一方でシーケンスは制御動作や機能を強調します。両者を正しく理解し使い分けることで、電気設計やメンテナンス業務の効率化につながります。これらの知識は電気技術者として必須であり、実務で活用することでより高度な設計やトラブルシューティングが可能になるでしょう。