ワイヤレスWANと無線LANの違い
ワイヤレスWANと無線LANは、 どちらも無線通信技術を利用したネットワークですが、 その用途や特性に大きな違いがあります。以下に両者の主な違いを解説します。
通信範囲
無線LAN (WLAN)は、比較的狭い範囲での通信を目的としています。通常、家庭やオフィス、カフェなどの限られたエリア内で使用され、その範囲は数十メートルから数百メートル程度です。
ワイヤレスWANは、より広範囲をカバーする通信ネットワークです。都市全体や国全体、さらには国際的な範囲での通信が可能で、数キロメートルから数千キロメートルの範囲をカバーします。
使用技術
無線LANは主にWi-Fi技術を使用しています。IEEE 802.11規格に基づいており、2.4GHzや5GHz帯の電波を利用します。
ワイヤレスWANは、主に携帯電話ネットワーク技術を使用します。3G、4G (LTE)、5Gなどの携帯電話規格を利用し、より広範囲での通信を可能にします。
速度と帯域幅
無線LANは一般的に高速で、最新の規格では数Gbpsの通信速度を実現できます。ただし、接続デバイス数が増えると速度が低下する傾向があります。
ワイヤレスWANの速度は、使用する技術や環境によって大きく変わります。4G LTEで数十Mbps、5Gでは理論上1Gbps以上の速度が可能ですが、実際の速度は場所や混雑状況によって変動します。
セキュリティ
無線LANのセキュリティは、WEPやWPA、WPA2などの暗号化技術を使用します。ネットワーク管理者が直接制御できるため、比較的高度なセキュリティ設定が可能です。
ワイヤレスWANのセキュリティは、通信事業者によって管理されています。SIMカードによる認証や、通信の暗号化などが行われていますが、ユーザー側でのセキュリティ設定の自由度は低くなります。
用途
無線LANは主に、家庭やオフィス内でのインターネット接続、デバイス間の通信、ファイル共有などに使用されます。
ワイヤレスWANは、モバイルデバイスでのインターネット接続、遠隔地からの業務システムへのアクセス、IoTデバイスの通信などに使用されます。
コストと管理
無線LANは比較的低コストで構築でき、ユーザー自身で管理することができます。初期投資は必要ですが、使用料は通常かかりません。
ワイヤレスWANは通信事業者のインフラを利用するため、月額料金や通信量に応じた課金が発生します。ユーザー側での管理は限定的ですが、広範囲での利用が可能です。
まとめ
無線LANとワイヤレスWANは、どちらも無線通信技術を利用していますが、その用途や特性は大きく異なります。無線LANは限られたエリア内での高速通信に適しており、ワイヤレスWANは広範囲での移動中の通信に適しています。実際の使用シーンに応じて、適切な技術を選択することが重要です。