ZscalerとVPNの違い:クラウド型と従来型
ZscalerとVPNはどちらもリモートアクセスを可能にする技術ですが、 セキュリティの仕組みや利便性に大きな違いがあります。Zscalerはクラウドベースのセキュリティソリューションとして、より高度な保護と柔軟性を提供する一方、VPNは従来型のネットワークアクセス方法として広く使われています。両者の特徴と違いを詳しく見ていきましょう。
Zscalerとは
Zscalerは、クラウド上で利用できる企業向けセキュリティソリューションです。主に以下の2つのサービスを提供しています:
- Zscaler Internet Access (ZIA): インターネットトラフィックに対して多層防御を提供し、クライアントデバイスのセキュリティを確保します。
- Zscaler Private Access (ZPA): クラウド経由でリモートアクセスのセキュリティ環境を提供し、VPNの代替として機能します。
Zscalerは、ユーザーベースのWebフィルタリング、アプリケーションコントロール、マルウェア対策など、高度なセキュリティ機能を備えています。
VPNとは
VPN(Virtual Private Network)は、インターネット上に仮想的なプライベートネットワークを構築する技術です。企業のネットワークに外部から安全にアクセスするために広く使用されています。
VPNの主な特徴:
- 暗号化された通信路を使用
- リモートワーク環境での利用に適している
- 初期認証後、ネットワーク内のリソースに広くアクセス可能
ZscalerとVPNの違い
ZscalerとVPNには、セキュリティの仕組みや利便性において重要な違いがあります。
1. セキュリティモデル
- Zscaler: ゼロトラストセキュリティモデルを採用しています。すべてのアクセスを信頼せず、常に検証を行います。
- VPN: 初期認証後、ネットワーク内のリソースに広くアクセスできるため、セキュリティリスクが高まる可能性があります。
2. アクセス制御
- Zscaler: ユーザーやデバイスごとに詳細なアクセス制御が可能です。Software Defined Perimeter (SDP)を使用し、セキュリティレベルを満たさないデバイスの接続を拒否できます。
- VPN: 一度認証されると、ネットワーク内のリソースに広くアクセスできるため、きめ細かな制御が難しい場合があります。
3. パフォーマンスと拡張性
- Zscaler: クラウドベースのアーキテクチャにより、高いパフォーマンスと拡張性を提供します。地理的に分散したデータセンターを活用し、ユーザーに最も近いポイントでサービスを提供します。
- VPN: リモートアクセスの増加やクラウドサービスの利用により、通信速度や品質が低下する可能性があります。
4. データ保護
- Zscaler: Data Loss Prevention (DLP)機能を備え、データの監視と自動検知が可能です。情報漏洩のリスクを低減します。
- VPN: データ保護機能は限定的で、追加のソリューションが必要な場合があります。
5. 管理と運用
- Zscaler: クラウドベースのサービスのため、管理が容易で、常に最新のセキュリティ対策が適用されます。
- VPN: ハードウェアやソフトウェアの管理、更新、パッチ適用などの運用負荷が高くなる傾向があります。
6. アプリケーションアクセス
- Zscaler: アプリケーションレベルでのアクセス制御が可能で、必要なアプリケーションのみにアクセスを制限できます。
- VPN: ネットワークレベルでのアクセス制御が主で、アプリケーション単位での細かい制御が難しい場合があります。
まとめ
ZscalerとVPNは、どちらもリモートアクセスを可能にする技術ですが、セキュリティの考え方や実装方法に大きな違いがあります。Zscalerは、ゼロトラストモデルに基づいたクラウドネイティブなソリューションとして、より高度なセキュリティと柔軟性を提供します。一方、VPNは従来型のネットワークアクセス方法として広く使われていますが、現代のセキュリティ要件に対応するには限界があります。
企業は、セキュリティニーズ、運用効率、コスト、ユーザーエクスペリエンスなどを考慮し、自社に最適なソリューションを選択する必要があります。多くの場合、Zscalerのようなクラウドベースのセキュリティソリューションは、現代のデジタル環境により適しており、VPNよりも優れた保護と利便性を提供する可能性が高いと言えるでしょう。