POSコードとJANコードの違いを開設

小売業界では、商品管理や販売データの収集に欠かせないPOSコードJANコードが広く使用されています。これらは一見似ているように思えますが、実際には異なる目的と特徴を持っています。本記事では、POSコードとJANコードの定義、特徴、そしてそれらの違いについて詳しく解説します。

POSコードとは

POSコードは、Point of Sale(販売時点情報管理)システムで使用される商品識別コードです。このコードは、各小売店や企業が独自に設定し、自社のシステム内で商品を管理するために使用されます。

POSコードの特徴:

  • 企業や店舗ごとに独自に設定可能
  • システム内での商品管理に使用
  • 同じ商品でも異なる企業で異なるコードを持つ可能性がある
  • 必ずしも標準化されていない

POSコードは、在庫管理、売上分析、価格設定などの業務に活用されます。各企業のニーズに合わせてカスタマイズできるため、柔軟性が高いのが特徴です。

JANコードとは

JANコード(Japanese Article Number)は、商品を識別するための標準化されたバーコードシステムです。国際的にはEAN(European Article Number)コードまたはGTIN(Global Trade Item Number)として知られています。

JANコードの特徴:

  • 標準化された13桁(標準タイプ)または8桁(短縮タイプ)の数字で構成
  • GS1 Japanから貸与されたGS1事業者コードを使用して設定
  • 商品の製造者や販売者を特定できる
  • POSシステムで広く活用されている

JANコードは以下の要素で構成されています:

  • 国コード(日本は45または49)
  • GS1事業者コード
  • 商品アイテムコード
  • チェックデジット

POSコードとJANコードの違い

POSコードとJANコードには、いくつかの重要な違いがあります:

  1. 標準化: JANコードは国際的に標準化されていますが、POSコードは各企業が独自に設定します。
  2. 使用範囲: JANコードは業界全体で共通して使用されますが、POSコードは特定の企業や店舗内でのみ有効です。
  3. コード体系: JANコードは厳格な体系(GS1事業者コード、商品アイテムコード、チェックデジット)に従っていますが、POSコードの体系は企業ごとに異なる場合があります。
  4. 発行と管理: JANコードはGS1 Japanによって管理されていますが、POSコードは各企業が独自に管理します。
  5. 互換性: JANコードは異なる小売店間でも互換性がありますが、POSコードは通常、他社のシステムとの互換性がありません。
  6. 用途の柔軟性: POSコードは企業のニーズに応じて自由に設定できるため、より柔軟な用途に対応できます。一方、JANコードは標準化されているため、用途が限定されます。
  7. データ共有: JANコードを使用すると、サプライチェーン全体で商品情報を共有しやすくなります。POSコードは主に社内での使用に限られます。

まとめ

POSコードとJANコードは、どちらも小売業界で重要な役割を果たしていますが、その目的と特性は大きく異なります。JANコードは標準化された商品識別システムとして業界全体で使用され、商品のトレーサビリティや効率的な流通管理を可能にします。一方、POSコードは各企業が独自に設定し、自社のシステム内での商品管理や分析に活用されます。

小売業者は、JANコードを活用して業界標準の商品管理を行いつつ、必要に応じてPOSコードを併用することで、より詳細な商品管理や分析が可能になります。両者の特性を理解し、適切に活用することで、効率的な在庫管理や販売戦略の立案に役立てることができます。

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