JPKIとeKYCの違い:オンライン本人確認の方法
JPKIとeKYCはどちらもオンラインでの本人確認に使用される技術ですが、その仕組みや適用範囲に違いがあります。本記事では、JPKIとeKYCの概要と、両者の主な違いについて解説します。
JPKIとは
JPKI(Japanese Public Key Infrastructure)は、公的個人認証サービスの略称です。これは、マイナンバーカードのICチップに記録された電子証明書を利用して、インターネット上での本人確認を行うシステムです。
JPKIでは、主に2種類の電子証明書が使用されます:
- 署名用電子証明書
- 利用者証明用電子証明書
これらの電子証明書を使用することで、なりすましやデータの改ざんを防ぎ、安全かつ確実な本人確認を実現します。
JPKIの主な特徴は以下の通りです:
- マイナンバーカードと連携した公的な本人確認手段
- 行政手続きや民間サービスでの利用が可能
- 高度なセキュリティによる信頼性の高い認証
eKYCとは
eKYC(electronic Know Your Customer)は、オンライン上で本人確認を完了するための仕組みの総称です。eKYCは、様々な技術や方法を組み合わせて実現される本人確認プロセスを指します。
eKYCの主な方法には以下のようなものがあります:
- 身分証明書の画像アップロード
- 顔認証技術の利用
- 生体認証(指紋、虹彩など)
- オンラインビデオ通話による本人確認
eKYCの目的は、オンラインでの本人確認プロセスを効率化し、不正利用やマネーロンダリングのリスクを軽減することです。
JPKIとeKYCの違い
JPKIとeKYCには、以下のような主要な違いがあります:
- 認証の基盤:
- JPKI:マイナンバーカードという公的な身分証明書を基盤としています。
- eKYC:様々な技術や方法を組み合わせて本人確認を行います。
- 適用範囲:
- JPKI:主に行政手続きや特定の民間サービスで使用されます。
- eKYC:幅広い民間サービスで利用されており、適用範囲が広いです。
- 認証の信頼性:
- JPKI:政府が発行する電子証明書を使用するため、信頼性が非常に高いです。
- eKYC:使用する技術や方法によって信頼性が異なります。
- 導入の容易さ:
- JPKI:導入には総務大臣の認定手続きなど、一定の手順が必要です。
- eKYC:サービス提供者が独自に選択・導入できるため、比較的導入が容易です。
- 利用者の準備:
- JPKI:マイナンバーカードとNFC対応のスマートフォンが必要です。
- eKYC:一般的な身分証明書とスマートフォンやPCがあれば利用可能です。
- データの更新:
- JPKI:マイナンバーカードの情報が更新されるため、最新の個人情報を維持できます。
- eKYC:定期的な情報更新が必要な場合があります。
- 法的根拠:
- JPKI:公的個人認証法に基づいて運用されています。
- eKYC:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則などに基づいて実施されます。
まとめ
JPKIとeKYCは、どちらもオンラインでの本人確認を目的としていますが、その仕組みや特徴に違いがあります。JPKIは公的な電子証明書を使用する高度に信頼性の高いシステムである一方、eKYCは様々な技術を組み合わせた柔軟な本人確認方法です。
サービス提供者は、セキュリティレベルや利用者の利便性、導入コストなどを考慮し、適切な本人確認方法を選択することが重要です。今後、デジタル社会の進展に伴い、JPKIとeKYCの両方がさらに普及し、オンラインでの本人確認がより安全かつ便利になることが期待されます。